大学数学で用いる行列をまとめてみました。ここでは行列のざっくりとした説明にします。

行列の種類
正方行列
ある行列Aの行と列の数が等しい行列
※特に行数と列数がmである行列をm次正方行列という
単位行列
主対角成分の値が全て1であり、主対角成分以外は全て0
記述法
EやIで表す
性質
単位行列をかけても計算結果は変わらない EA=A
逆行列
整数でいう逆数みたいな意味を持つ行列で、行列Aに行列Aの逆行列をかけると計算結果が単位行列になる行列になる行列
記述法
行列Aの逆行列はA-1のように表す
性質
逆行列をかけることによって単位行列にすることができるA-1A=E
作成方法
①ガウスジョルダン法
②余因子行列を用いる方法
正則行列
逆行列が存在する正方行列
判別方法
行列Aの行列式の値が0でないならばその行列は正則行列
回転行列
原点を中心に回転変換の表現行列
転置行列
ある行列Aに対して(i,j)成分を(j,i)成分に移して作られた行列。
表記法
行列Aの転置行列はATまたは、、TAと表す。
※m × n行列は転置するとn × m行列になる
性質
(A+B)T =AT+BT
(AB)T =BTAT
(AT)-1 =(A-1)T
対角行列
正方行列のうち主対角成分以外の成分が0である行列
テプリッツ行列
主対角成分の値が全て等しい行列
ハンケル行列
半対角成分の値が全て等しい行列
※トレース:主対角成分の和をとったもの
対称行列(実対称行列=実エルミート行列)
ある正方行列Aがあって行列Aを転置しても、元の行列Aと変わらない行列のこと
※対称行列ならば直行行列Aと使う方法で100%対角化できる
交代行列(実歪エルミート行列)
ある正方行列Aがあって行列Aを転置すると、元の行列Aと符合だけが変わる行列
三角行列
上(下)三角行列は対角成分とその右上(左下)のみ0以外の値がある正方行列
随伴行列
行列Aを転置し、その成分を複素共役にした行列。
記述法
A*であらわす
性質
( A B )*= B*A*
(A*)*=A
(A*)-1=(A-1)*
(CA)* =CcA*
cは行列の成分の複素共役を表す
正規行列
行列AにおいてA*A =AA*を満たす行列A
ユニタリ行列(実ユニタリ行列=直行行列)
行列AにおいてA*A=Eを満たす行列A。A*=A-1
直行行列(=実ユニタリ行列)
行列AにおいてATA=E→AT=A-1を満たす行列A。
エルミート行列(実エルミート行列=実対称行列)
行列AにおいてA*=Aを満たす行列A。